柿の味の記憶

 

小田くんと修ちゃんとの学校帰り、

田んぼの向こう側の農家の離れに

たくさん濃いオレンジ色の実がみえる。

 

すると、修ちゃんが指差しながら、

「あれって、甘かな?渋かな?」

「平らでねえし、大ぎくもねえがら甘じゃね。」

と僕は答える。

 

 

 

 

 

僕らはいろいろ話しながら、

もうすでに柿の木に近づいている。

そろり、そろり誰にも気づかれないように

三つ失敬して・・いっせいに“パクリ”

 

口の中には柿の香りがいっぱい、

あの独特の甘さが広がり・・と思ったら、

舌の奥からみるみると

口全体に“渋さの大火事”

 

ペッ、ペッ、急いで柿を吐き出す三人。

 

 

 

 

 

「ダ〜メだったねえ。」

「う〜気持ちわりい〜。」

 

しばらくすると口の中も異常なし。

ランドセルを乱暴に背負って歩き始める。

 

さっきの事はさっさと忘れ、変なギャグを言い合う。

しばらく歩くと・・・

たわわにオレンジ色の実がなっている。

 

修ちゃんは言う。

「あれって、甘かな?渋かな?」

 

 

 

 

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